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早いものであれからもう一年も経ってしまいました。
一周忌の供養が済み会食の席。
おやじを偲んで集まった人を前に施主の挨拶。
施主ってのは私。
隣にお袋を立たせて、この一年間励まして頂いたお礼と近況報告。
やっと先々月お墓を建てて納骨を済ませた事なんかを皆さんに報告して
挨拶を終え、献杯とやらに移ります。
本当は親戚縁者の代表みたいな人が杯を持つのでしょうが
そこは八方破れの我が家。
可愛がっていた孫娘がマイクの前に立ちます。
最初から仰け反り発言
小学校の卒業式の呼びかけ風に、
「おじいちゃんお元気ですか?」会場爆笑
「おばあちゃんはお骨をお墓に入れてから
毎日、毎日おじいちゃんが家に帰って来ると言ってます」
「私の所には来ないのはどうして?」
掴みを入れてから、可愛がって貰った思い出を二言、三言。
そして、おじいちゃんが大事にしてた裏庭の畑に
今年も馬鈴薯、枝豆、トウモロコシ、カボチャ、人参、大根を
おばあちゃんと一緒に植えた事に言及。
「大きくなったカボチャを見ておじいちゃんを思いだしてます」
うん、なかなか良い話だ、、。と感心するも、突然
「おじいちゃん。私は万引きはしていません」と言った。
隣にいた嫁は間髪入れず「そんな事をする娘ではありません!」
すると、ばあさんが一言「あんた、それは間引きだろう」
あ〜〜あ。台無し。
会食も終わり、時間のある人達と一緒にお墓参り。
お墓は藻岩山中腹にあり、見晴らしは絶景。
なれど、そこにたどり着く登りは暑い日は悶絶。
汗を拭き拭き、ご一行様を案内し、墓前に今日の報告。
眼下に街を見下ろしながら、しばし墓談義中に、、。
腰掛けていたお袋が「あれ?!」「カモン、カモン」
一瞬、じいさんが蘇ったのかと辺りを見回す。
「家紋が逆さだよ」
気が付かなかった。墓の正面に彫ってある「丸に梅鉢」
五角形の頂点が下になってる。
「判った!これだから、毎日、じいちゃん、家に来るんだっ!」
ばあさんはスクッと立ち上がり麓の墓石屋にまっしぐら。
下りと言えどもこれ程までにスピードがあるとは、、。後を追う一行も唖然。
話を聞いた墓石屋の女主人も腰を抜かさんばかりに驚き平身低頭。
「お盆までには必ず直します」
安心したお袋の額にようやく汗が、、、、、。
「直さない方が良いのに。おじいちゃん毎日帰って来ないと寂しいよ」
孫の呟き 聞こえていたか? お袋さん。