<格付け>  02/05/31

今日の夕刊によると、ムーディーズが、日本の長期国債の格付けを、
2段階下げた、「A2」にしたと発表したらしい。

日本の国債の格付けは、これまでの「Aa3」でも、すでに先進国の中では最下位だったのに、
これでは、「A1」のチリやボツワナよりも低位、イスラエルやポーランドと同等ではないか。

これに対して、財務省は、「日本経済の基礎的諸条件を考えると、根拠を欠いた不当なものだ」と即日反論。
塩川大臣も「(ムーディーズも)商売でやっているのだから色々言うのだろう。政策の変更はしない。
円の値打ちは上がっていて、市場は今回の評価を参考にしていない」などと、全く意に介していないようだ。

しかし、過去、経済市場が、思惑と予想だけで大きく動いてきたことを思い起こせば、
一民間格付け会社の判断などと、暢気なことを言っていられないのではないか。

それに、国債の格付けだけでなく、4月30日にスイスの国際経営開発研究所(IMD)が発表した、
世界競争力ランキングでも、日本は世界の主要49ヶ国・地域の中の30位に後退していた。(前年は26位)。

これまで日本は、この機関の報告では、1989年〜1993年までは、総合で1位であったことを見れば、
隔世の感がある。
わずかこの10年で、3位→4位→13位・・・と坂道を転がり落ちるように、ランキングが下がって来て、
今年はチェコ(29位)、中国(31位)、イタリア(32位)と並ぶところまで落ちた。

私は、もう少し上の所と考えていたが、総合順位と上位にある国名を見ると驚く。
何せアジアの中でも韓国と同じ6位。すぐ後ろは中国なのだ。(ちなみにアジア1位はシンガポール)

韓国は、金大中政権が、「超高速改革」を行った結果得たランクだと思う。

金大中政権は、日本と同じように不良債権問題で四苦八苦していた1997年以降、
これまた日本と同じように、公的資金を大量に導入し、しかし日本よりずっと早く解決した。
バブル崩壊後、10年経っても泥沼から抜けられない日本と、韓国とはどこが違ったのか。

金大中政権は、強力なリーダーシップを発揮して、短期間に、銀行11行を含む
金融機関 数百社を整理し、旧経営陣を一掃した。
また、一般企業も 、財閥系を初め100社以上を倒産させるなど、大胆に産業の再編を行った。

ソフトランディングをしようとして、いつまでも塞がらない傷口からダラダラ出血し続ける貧血状態の日本と違い、
肉を切らせて骨を切った韓国は、この短期間に、インターネットでは世界でも1、2を争うインフラを築き上げたのだ。

ランキングは「経済の状況」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「インフラ」の4分野、計314項目について、
各国に順位をつけ、総合点をはじき出している。

今回、日本は、外貨・金保有高、高校進学率、1人当たり研究開発支出額、寿命の長さ、
ハイテク製品の輸出額、コンピューター使用台数などでは、1位か2位にランクされた。

一方、「外国人を雇う困難さ」「公共事業の発注が外国企業に開かれているか」
「大学教育が競争経済のニーズに適合しているか」「起業家精神の広がり」「株主の権利、責任の明確さ」
「文化の閉鎖性」などの項目で、最下位となった。
産業用電力料金の高さ、経営者の国際経験なども、最下位の48位になった項目である。

判断項目の選び方を見ると、たしかに欧米流のビジネスを基準にしており、日本にとって不利な面もある。
しかし、日本が規制や高コスト構造などを抱え、競争できる力を失っていること、
これまでのように、世界経済に貢献できないと、国際社会から判断されたことだけは、認めざるえないだろう。

これを見てもまだ、政治家や役人は、外国機関の格付けなど取るに足りないと思うのだろうか? 
国際競争力をいかにして高めるか。
そろそろ本気で考えないと、過去の栄光だけじゃ未来は照らせない。

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