<終戦記念日>02/08/15 (日記より転記)

数日前、初めて「アンネの日記」を読みました。
たいていの女性は、大人になる前に1度は読んでいると思われるこの本を、
私が今までちゃんと読んだことがなかったのは、救いのない話は苦手だからというのと、
「アンネの日記」というあまりに有名なタイトルゆえ、ベストセラーものを避けるような、
照れのようなものがあったのかもしれません。
とにかく今まで、これは思春期の少女が読む本と思い込んでいました。

しかし、実際に読んでみると、これまでの先入観はどこへやら、
これが、まだ人生についてほとんど体験していない、たった13歳の少女が書いたとは思えない、
瑞々しい機知にとんだ観察力で書かれた、素晴らしいものでした。

ちょうど今日は終戦記念日。
特に心に残った、今の時代にも通じる一文を、ここに引用させて頂きます。


「そもそもなぜ人間は、ますます大きな飛行機、ますます大型の爆弾を一方で作り出しながら、
一方では、復興のためのプレハブ住宅を作ったりするのでしょう?
いったいどうして、毎日何百万という戦費を費やしながら、その一方では、医療施設とか、
芸術家とか、貧しい人たちのために使うお金がぜんぜんない、などということが起こりうるのでしょう?

世界のどこかでは、食べ物がありあまって、腐らせているところさえあるというのに、
どうして一方には、飢え死にしなくちゃならない人たちがいるのでしょう?
いったいどうして人間は、こんなにも愚かなのでしょう?

わたしは思うのですが、戦争の責任は、偉い人たちや政治家、資本家だけにあるのではありません。
そうなんです。責任は名もない一般の人たちにもあるのです。
そうでなかったら、世界中の人々はとうに立ちあがって、革命を起こしていたでしょうから。

もともと人間には破壊本能が、殺戮の本能があります。殺したい、暴力をふるいたいという本能があります。
ですから、全人類がひとりの例外もなく心を入れかえるまでは、けっして戦争の絶えることはなく、
それまでに築かれ、つちかわれ、はぐくまれてきたものは、ことごとく打ち倒され、傷つけられ、破壊されて、
すべては一から新規まきなおしに始めなくちゃならないでしょう。」

(深町眞理子:訳 文春文庫 「アンネの日記」完全版より )

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