<サンタが家にやって来る>02/12/24 (日記より転記)

私の家にサンタクロースがやって来ていたのは、いつ頃までだったんだろう。

イエス様は24日の夜、25日の未明にお産まれになった。
だからサンタクロースがプレゼントを配り歩くのも24日のクリスマスイブの夜。

イブの夜は家族で夕食。そこには骨付きの鶏のモモがあった。
ひとり1本の鶏の足なんて、誕生日やクリスマスにしか食べられなかった。
他には何があったかあまり覚えていない。たぶんポテトサラダとかそんなもの。

食事が済んだらケーキが待っていた。
これも誕生日とクリスマスイブの日だけのホールケーキ。
弟とジャンケンをして、チョコのプレートやお砂糖で出来たトナカイやらを取り合う。
どっちが大きいの小さいのと決まって小競り合いになる。
固いバタークリームのケーキ。
とりたてて美味しいというものではなかったはず。
食が細かった子供時代。けれど、ご飯を食べた後でも、そのケーキは残さず食べた。

クリスマスの匂いは、松の木とロウソクの匂いが混じったもの。
そういえば、あの頃の家のクリスマスツリーは本物だった。
樅ノ木ではなかったけれど、たぶん赤エゾ松かなんかの、
いい匂いがする、でもさわるとチクチク痛いツリー。

雪は真綿をちぎったもの。
それに、落とすとすぐ割れる銀色の丸い玉と、赤い別珍のリボンをところどころに飾り、
銀色のモールをグルグルまいて、てっぺんに金色の星を飾ったらできあがり。

今のように、ピカピカする電飾や派手なオーナメントはなかったけれど、
家族揃って少し暗くした居間で、飾り終わったツリーを眺めているだけで、
子供の私達には充分に「特別な日」だった。

心の中がゆっくりと暖められていくような、あの不思議に満たされた心は、
一体どこからきていたのだろう。

その夜、サンタクロースがやってくる。
サンタさんは、街中の子供のいる家を一晩かけてプレゼントを配って歩く。
起きている子供の家は後回しになるから、早く寝なければいけない。
そう言う親の言葉を信じて、眠くないのに、いつもより早く寝ようとしたものだった。

そういえば、プレゼントに何が欲しいかなんて聞かれたことがなかったなぁ。
コマーシャリズムもキャラクターグッズもなかった時代。

朝起きて枕もとに置いてあるのは、リボンがかかった大きな包み。
中味はお約束の、お菓子が詰まった銀色の長靴。
他には、子供向けの本や毛糸の手袋、など。
どれもたいしたものではないけれど、
目が覚めて、それを見つけたときのワクワク感は今でも覚えている。

ある年のイブのこと、なぜか夜中に目が覚めた私は、枕もとに父がいるのに気がついた。
「そこの角でサンタさんに会ってね、家にくる途中だって言うから、
 プレゼントを預かってきたんだよ。」そう父が言った。

こんなことを覚えているのは、あの時うすうす、サンタクロースは父だと気づいたからだろうか。
こんなことがあっても、決して「サンタさんて、ほんとはね・・」と言わなかった両親。
子供の夢を大切にしてくれた親のもとで育ったことに、感謝。

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