<ゴマメの歯軋り>  03/08/14

この間、ちょっとした集まりがあって、そこに来ていた国立大の教員をしているとかいう人が、
国立大学の独立行政法人化の法案が通った話をしていた。
これでいよいよ日本の教育も、アメリカのように対価と引き替えに与えられる
サービス業になってしまうのか、とか、
研究活動は、ますます大学のポストを得たり維持したりするための手段と化し、
過当競争がさらに煽られていくだろうとか、
あら、いいことじゃないの、と思ったら、どうやらその方は民営化の流れを嘆いているらしい。

子供がいない私、自分の受験はン十年も前のことだし、
ああ、そういう話もあったわね、という程度の関心しかなかったけど、
聞いていて、なんだかなあと思った次第。

この大学の行政法人化、一般事務の人減らしの側面も当然あるのだという話。
それでは、この改革に反対している教員たちは、
なぜ、そういう一般事務の人々を巻き込んで反対運動をしなかったのだろう。
非常勤の講師たちや、あるいは授業料にしわ寄せがくる学生たちだって
取り込むことはできなかったのかしら?

これがひと昔前なら、たぶん学園紛争が起こっていたよね。
今は、先生もおとなしければ、学生も他人事のように無関心。
どうせ授業料は親が払ってくれるからいいのか。

昔はよかったと言っているわけじゃない。
私は全共闘世代のちょっと下の世代なので、学園紛争の末期を知っているけど、
当時、ただの不良だった私は、そんな運動をやっている連中を、
なんと汗臭いと冷ややかに見るだけだった。
彼らの論理にも抗議の仕方にも共感は持てなかった。

ただ、あの頃は若者が、今よりださくて単純で無鉄砲だった。
社会の動きに敏感で、政治にも関心があった。なにより言葉を使えた。
(その後まともな大人に成長したかどうかは別として/笑)

それに比べて、今の若者のなんとスマートなことか。

外務省に就職が決まっているとかいう東大生が、卒業インタビューで
「仕方のない戦争もある。戦争が良いか悪いかは、今後よく考えてから・・」
とか言う時代だものね。

ツルンとこぎれいな若者たちよ。
親に授業料払わせてもいいけどさ、
せめて自分の頭で考えて、「言葉」を使える大人になってよね。

暴言を吐いて知性の欠如を晒している議員が、
それでも選挙であっけなく勝ってしまうような制度(と有権者)を持ったこの国で、
みっともない大人が多いこの国で、
何が正しくないか、何が嫌なことかをちゃんと穏やかに抗議ができるように。

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