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今回のは、不本意ながら昼の部でしたが、
右近、獅童が思いのほか良くて、お正月らしい華やかな舞台でした。
「壽曽我対面」獅童/笑也/右近
「黒塚」右近
「春興鏡獅子」海老蔵
印象に残ったのは、黒塚の右近が鬼女になって、阿闍梨の念仏に息も絶え絶え
逃げる途中で、引き戻され、花道でばったり、直立状態から床まで90℃に倒れるところ。
床に激突する直前に、両手の平をつけて支えていたらしいのですが
(私は気づかず、夫の解説)あの業には驚かされました。
面高屋の伝承芸らしいのですが、いくら鍛えているといっても、度胸のいる業ですね。
それと、海老蔵が獅子になって、花道を駆けて出てくるところ、
一旦出てきて、そのまま、後ろ向きに走って又花道の向こうに引っ込むのですが、
その後ろ向き走りのスピードが、全速力並み。
なのに曲がらず、頭も上下せず、体も揺らがず、前を向いたまま、
レールの上を走っているかのようにまっすぐ走るの。
この2つの業を、すぐ前で見られただけでも、桟敷に座った価値がありました。^^
腰元海老蔵が舞う様子、太っていた時は、化け物とまで言われてましたが(笑)、
今回はほっそり、テレビで見るよりだいぶ細くなっていたので、女形も充分いけました。
獅童の曾我五郎も、花があったし、今回はお正月公演らしく
隈取多用であまりドラマ性のない、ちょっと、お能風な出し物でしたけど、
歌舞伎初体験のおとさんも、面白かったといってくれて、ほっとしました。
それにしても、歌舞伎座10月公演のときに、黒子や拍子木打ちの人が
座った状態で、後ろ向きに下がる所作にまで感動しましたが、
今回の拍子木打ちは、そのまま立ち上がって、くるっと回れ右して歩いて
戻っていきました(笑)。
やっぱり主役の役者の格によって、そういう周辺の役目の人たちの質も違うのでしょうか?