花の土
花をたくさん咲かせる土を作りましょう

良い土の条件
・通気性・水はけ・保水性・保肥性がよい。
・有機物を含み、軽すぎず重すぎず、ほどよいPH、清潔で異物が混じっていない。
土壌改良剤---花壇(地植え)の場合
土を柔らかくし、水はけをよくし、適度な保水性を持ち、通気性がある土にする目的で使うもの。
有用な土壌菌が住みやすくなるので、根が肥料を吸収しやすく根張りがよくなります。
基本の改良剤の他に、それぞれの土壌の性質に合ったものを組み合わせます。
基本 牛糞堆肥
牛糞を元に作った堆肥が、草花に向いています。
醗酵が充分進んだものを選びましょう。
未熟なものは根を傷めます。
市販品は未熟なものが多いので注意が必要。
秋から冬にかけて混ぜ込んでおいて、土中で完熟させると安全です。
1u当たり30〜40L漉き込みます。

通気性、保水性をよくし、微生物を活性化し、根が張りやすい
ふわふわの土にしてくれます。
肥料分は少ないので、改良目的で使います。
パーライト(粉末状)
用土の通気性、排水性の改善に使います。
黒曜岩が原料の物もありますが、真珠岩が原料のパーライトが花壇向き。
1u当たり10〜30L漉き込みます。
粘土質 腐葉土
牛糞堆肥と同様、微生物を活性化し、根が張りやすい、
ミミズがたくさんいる、ふわふわの土にしてくれます。

葉が黒くなり、崩れかけている完熟品を選ぶ事。
未熟だと、牛糞堆肥と同じくガスが発生し根を傷めます。

ピートモスも同じ様な目的で使えますが、微生物を活性化することは
期待できません。また、弱酸性なので、使う場合は酸度調整済みを選ぶ事。
砂質 赤玉
関東ロームの中層にある赤土を乾燥させて粒にしたものです。
通気性は悪いのですが、無菌の弱酸性土なので、砂地に混ぜると、
保水性、保肥性を高め通気性は維持します。
もちろん、黒土を混ぜ込んでもOK。
この他、砂地の保水性、保肥性を高めるには、 腐葉土・ピートモスも使えます。
酸性 苦土石灰
土の酸度を調べるには、ガーデンセンターなどで売っている試験キットを
使うのが簡単です。また土を蒸留水に溶かして、その上澄みを
PH試験紙で調べる方法でもわかります。
PHは5.5〜6.5が植物の生育に向いていると言われています。
これより数値が低ければ酸性、高ければアルカリ性に傾いている土になります。

酸性が強い場合は、石灰を混ぜますが、効果が穏やかで、微量要素の
マグネシウムを補える苦土石灰がおすすめです。
施すときは、まんべんなく土に混ぜ込みますが、この時注意しなければ
いけないのは、堆肥や肥料と一緒に施さないことです。
(窒素成分がアンモニアになって飛散することがあるため)
まず石灰を施し、最低1週間、できれば1ヶ月おいてから、
堆肥と元肥を施す。
肥料---花壇(地植え)の場合
有機質肥料 油粕・骨粉
元肥として使います。
有機質をベースとして、化成肥料はそれを補うものとして使うと、
花を長く咲かせ続ける事が出来ます。
使用量はそれぞれの袋に書かれている量を目安にして下さい。
化成肥料 緩効性肥料 マグアンプKなど
追肥として使います。
一年草中心なら元肥をたっぷり施せば追肥は必要ありません。
ただし、花期が長いパンジー、バーベナ、ペチュニアには施します。
この場合は月に一度1u当たりひとつかみ(20gくらい)を株元にまいて、
表土と混ぜ合わせておきます。

宿根草の場合は、春と秋に化成肥料か配合肥料を
1u当たりひとつかみ強(30gくらい)をやはり株元にまいて、
表土と混ぜ合わせておきます。

また、花後に球根を太らせる必要がある球根類にも使います。
改良剤と元肥の施し方---初めての場合(植物が植わっていない状態)
改良材と肥料を、花を植えようとする場所に均等にばら撒き、深さ30〜40センチくらいまで漉き込んで
よく耕します。そのまま1〜2週間寝かせます。
■改良剤と元肥の施し方---2度目以降(植物が植わっている状態)
堆肥は数ヶ月で分解して土になるので、年に1度は漉き込みましょう。
植物と植物の間の、根を傷つけない場所に、移植用のシャベルなどを使って漉き込みます。
春先の球根類が芽を出し始める頃、一年草を植え付ける前あたりが、適期です。
水はけが悪い場所に花壇を作る場合
雨の後、水溜りができて、いつまでも水気が残るような土では、根を深く張れないので、
花を植えてもうまく育ってくれません。
そういう場所に花を植えるには、何かで土留めをして土を入れ高さを出してやると、
ちょうど畝のようになり水はけが良くなるので、植物が元気に育つようになります。
土留めに使う材料は、丸太や枕木、レンガ、石など。素材によって雰囲気も変り、
植える草花も上に伸びるものだけでなく、手前に枝垂れるものを植えて楽しめます。
酸性が強い土の場合
たいていの植物は、弱酸性でよく育つので、年に1度は苦土石灰などを混ぜてPH調整をします。
但し、植物にも酸度の好みがあるようです。
一般的にツツジ科の植物は酸性を好むと言われています。
これには、ツツジ、サツキの他、ブルーベリー、エリカなど最近人気の植物も含まれています。
また、青色のアジサイも酸性が強い土地だと、青みが鮮やかになります。
これらを植えるときには、石灰は必要ありません。

反対に近頃流行りのヨーロッパ産の植物には、酸性に弱いものが多くあるようです。
代表的なのが、ラベンダーなどのハーブ類です。

花壇の土の酸度を知り、そのPHにあわせた植物を選ぶか、あるいは、計画的に酸度調整をして、
好みの植物を植えるか、いずれにしても、土壌酸度にも気を配りましょう。
スギナ、オオバコが多く生えている場所は、土が酸性に傾いているという印です。

ちなみに、アルカリが強い土の場合は、酸度調整をしていないピートモスを混ぜます。
土の再生(異物が混じっていたり清潔でない土の場合)
まず、不純物を取り除きます。できればふるいを通して、雑草の根や小石なども取り除きます。
それから、剣先スコップで30〜40センチ掘って天地を返します。

天地変えをする時には、苦土石灰を施し、消毒のためにベルミノ剤やTPN剤の1000倍希釈液をかけます。
薬剤の代わりに、80℃以上の熱湯をまいてもOK。

土の中には有機物を増やす良いバクテリアと、立ち枯れ病などを誘発する悪いバクテリアがいます。
良いバクテリアは空気を好み、悪いバクテリアは空気を嫌うので、天地変えをすることで、
悪いバクテリアを減らす事が出来ます。
また、土の中にいる虫の卵や、さなぎなども退治できます。

この作業は、植付けの1〜2ヶ月前にはすませておくのが理想です。
本州なら冬の間に、北海道なら秋口か雪融け直後にしておくと、湿った土の中まで霜が降りて、
土中の病原虫を駆除できます。
また、土が霜によって風化するので、土質がよくなります。
■コンテナー(鉢)の土---戸外置きの場合
市販の培養土を使うのが便利です。
これにバーク堆肥(牛糞堆肥より匂いが少ない)と腐葉土またはピートモス(酸度調整済み)を
1割くらいずつ混ぜ込みます。
ハンギングにする場合は、軽くするために、パーライト(又はバーミキュライト)を3割くらい加えます。

■プランターへの施肥
上記の土に元肥として、油粕・骨粉・マグアンプKを多めに施します。
コンテナ栽培の場合、限られた土で育つため、肥料切れを起こしがちですので、蕾があがってきたら
ハイポネックスなどの液肥を、1000倍に希釈したもの1〜2週間に1回、
水遣り代わりに与えると良いでしょう。

コンテナー(鉢)の古土の再生
毎年新しい土を買うのはもったいない。それにベランダ園芸の場合捨てる場所にも困ります。
しかも上に書いたような土の場合、腐葉土が入っていますから、1年使ったあとは、
有機物や微生物が増えて、良い土質になっています。
そこで、不純物を除いて、悪くなった排水性や保水性を補って使いたいものです。

病原菌や虫の卵は真夏の太陽熱、または真冬の寒気にさらすと、ほとんどやっつける事が出来ます。
古土はふるいにかけて不純物を取り除いたら、2重にしたゴミ袋などに詰めて、
その時期(真夏か真冬)まで保存しておきます。

真冬の場合:
育苗箱(苗を買ったとき入れてくれる黒い網状になったプラスチック箱)に不織布を敷き
そこに土をあけて、消毒のために熱湯あるいはベルミノ剤やTPN剤の1000倍希釈液をかけます。
そのまま戸外において、霜にあわせます。可能ならば春までに2〜3度天地変えする。
真夏の場合:
丈夫なビニール袋に半分ほど土を入れて、ジョウロで水をかけ土を湿らせる。
これを、太陽があたる平らな場所(コンクリート面など)に数日放置します。
太陽熱で蒸気消毒して病害虫を駆除するわけですから、土が湿っていなければ効果がありません。

このようにして、消毒・再生した土に、2〜3割の新しい土(赤玉7・腐葉土3の割合)を加えて使います

■オマケ:鉢底の石を再利用しやすくするために一工夫(06/10/09追記)
鉢底に水はけをよくするために入れる軽石。
これを鉢底に入れるときに、玉ねぎネットや生ゴミネットにいれ結束バンドで口を止めてから
鉢底に入れます。
こうすると、使い終わった土を取り出すときに鉢土と混じらないので、始末が手早く出来ます。
袋のまま、洗って土を落とし、熱湯をかけるなどして殺菌してから保存しておくと、
来春またそのまま使えます。

参考図書:別冊NHK趣味の園芸「土・肥料・鉢」 NHK出版
       「花の庭を作ってみよう」加持一雅・郁代著 婦人生活社

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