ちょうど1年前の今日、上行と弓状大動脈を人工血管に置き換える手術をしました。
その3週間前の3月18日の未明に、「下行」と言われる背中側の大動脈が破れて
病院に駆け込んだのですが、検査の結果、前の方の大動脈のほうが
いつ破れてもおかしくないくらいまで太くなっているとのことで、
後ろは、安静にして固め、先に前を手術することになったのです。
もし、前が破れていたら、たとえ手術室にいても手の打ちようがなく、ほぼ即死。
後ろでも、裂け具合によっては、生きて病院にたどり着けるのは10人に1人とか。
それほど怖い病気なのに血管が破れる直前まで、兆候や症状がほとんどなく
普通に生活できるのが、血圧と血管の怖い所。
サイレントキラーとはよく言ったものです。
そんな静かな進行具合の病気ですが、今思えば数年前からの危険なシグナルが
ありましたので、どなたかの参考になればと書いてみます。
1)血圧は下の数値に注意
ダイエットを始めた2012年6月、肥満外来で計った血圧が高かったのですが(158-119)、
それまで年に一度の健康診断では、血圧でチェックされたことがなく、
一過性かと放置していました。
しかし注目すべきは、上より下の数値だったのですね。
下が高いのは、次に動脈に送り出す血液を心臓に蓄えている時に、血管内壁が受ける
圧力が高いということを意味するので、これに動脈硬化が重なると、弾力のなくなった血管が
戻りにくくなり、それが繰り返されてだんだん太く(=壁は薄く)なってくるのですね。
2)LH比に注意
ダイエット前は、LDLが190mgもありました。
でも、善玉と言われるHDLも70mgと多かったし、中性脂肪は、一番太っていた時でも
110mg程度だったので、気にしていませんでした。
ガンにでもなった時は、LDLが高いほうが生き延びる、なんて思ってましたし。
しかし、問題はそれぞれの数値より、その割合だったんですね。
最近、聞くようになった、「LH比」(=LDL÷HDL)
これが2以上だと動脈硬化、心臓病のリスクが高くなるそう。
これで計算してみると、ダイエット前の私のLH比は2.7、
ダイエット後は(126-52)と数値は両方下がりましたが、比率は2.4で、
見事に危険域でした。^^;
3)危険な動脈のサイズと、そこに行き着くまでの期間は?
人間の体の中で、一番太いのが胸部大動脈ですが、
これの正常サイズは、成人男子でも直径3センチほどのようです。
これが5センチ以上になるといつ破れてもおかしくない危険域で、
予防的な手術も考える対象になるようです。
それが、私の場合は、6センチにもなっていました。^^;
今回手術を受けた病院に 2009年11月、不整脈で検査に行った時の
CT画像が残っていたのでわかったのですが、その時の大動脈のサイズは
3センチほどで、正常だったようです。
したがって太くなったのは、この時から2015年3月までの6年の間。
ただ、人によっては、数ヶ月で危険な状態まで変化することもあるそうですし、
肥満じゃなくても、若い人でもなるようなので、
(入院していた時、同じ病気で、手術した24歳のトラック運転手をしているという
男性がいましたが、彼は、普通の体格でした)
朝晩、血圧を計測をすることをおすすめします。(年寄り臭くて嫌ですけどね~/笑)
私のような解離だけじゃなく、心筋梗塞も、脳疾患もすべて血圧コントロールで
回避できます。
一度太くなった血管は、元には戻らないそうです。
そして破れたら、上行と弓状ならほとんど即死(大阪の事故の方がこれでしたね)
後ろでも、24時間以内に病院に行かなければ、ほとんどの人が亡くなるそうです。
(阿藤快さんはこのケース)まさにサイレントキラーです。
■下行動脈が破れる2週間くらい前から現れた症状
・食事をすると、食道に詰まる感じがした。(毎回ではなく時々)
■数時間前に現れた症状
・夕方から背骨の上、肩甲骨とクロスする辺りに肩こりのような鈍痛があった
・晩ご飯を食べようとした時、急に声が出にくくなった(風邪を引いた時のような)。
・食べ物もちょっと飲み込みにくい感じがした。
・食べ終わったら、声がいつもどおりに出るようになった。
これらの症状から、私はてっきり食道に問題があるのかと思いました。
で、11時頃休みましたが、夜中にふと目が覚めて、ネットで調べたら、
これらの症状が心臓に起因する可能性が大きいと知って、
「そうか、心臓だったのか。近いうちに検査に行こう」と立ち上がった途端にドーンと来ました。なんと言ったら良いのか、左側の背中が肉離れしたような痛みでした。
血管が破れると、人によっては、バットで殴られたような痛みがあるそうですが、
私のは、ちょっとした筋肉痛のような、体が左に傾いてイタタタタという程度でした。
なので、寝ている間に起きていたら、朝起きた時には、寝違えかなと思って、
すぐには病院に行かなかったかもしれません。
そういう意味でも、夜中に目が覚めて検索した私はとても幸運だったと思います。
最後に、記念写真を。(*^^*)
これが、太りに太った、手術前の私の血管。
左側の血管の端っこについている茶色っぽいのが心臓ですから
いかに、血管が太くなっていたかがおわかりでしょう。
心臓に近い部分から「上行」→「弓状(脳や腕に行く血管が枝分れしている)
→下行→腹部大動脈と続いています。
私は、上行、弓状のほうが、危険域越す太さだったにもかかわらず、
それよりは細かった「下行」が破れてくれたので助かりました。
安静3週間で下行の破れが固まったので、上行と弓状の大動脈を人工血管に置き換えました。
石灰化した部分も、すっきり若返りました(笑)。
上の写真では細く見えた「下行」がぶよぶよに見えます。
上の手術から3週間後、下行も人工血管に置き換わり、術後1週間で退院できました。
とはいえ、こんな手術はしないに越したことはないので、
ある程度の年齢になったら、血圧に気をつけて、
一度、血管ドッグ、脳ドッグを受けることをおすすめします。